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 映像作品は「里芋のお経」というお婆さんが弱々しく唄う俚謠が流れ、家族の会話の場や自然の風景にオーバーラップさせた年輪を描く映像が淡々と流れてゆく。何も言わないような穏やかな映像だったが何も言わないようでいて、諏訪氏の人生と家族の時間を、また永々と続いてきた村落共同体の長い時間の流れを、その様々な事象やそれぞれの想いを静かに表現していて感情に染み込んでくるものがあった。特に「里芋のお経」は心に染みた。

 

 ライブドローイングは、黒板にチョークで年輪を描く音を集音器で拾い、サウンドエフェクトで神秘的な音となり会場に流れ、氏は淡々と年輪を描いていた。その音から氏の描く年輪に自ずと集中することになり、集中することで逆に脳内で様々な相念が湧き起こってくる。

 私にはそのぐるぐるした絵のカタチと神秘的なサウンドにより、映像作品の現した人間の時間を更に超えて、銀河や宇宙の時間を感じる事となった。とても上質な時間を過ごさせてもらった。

山本閑象(陶造形家・斑鳩山房)

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